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腎移植

腎移植の目的

腎移植は腎不全治療の根本的治療と考えてよいが、人工透析に比較してさらなる生活の質(quality of life ; QOL)の向上を目標としているところが特徴といえる。

※本ページは、板橋中央総合病院 腎不全外科 松野直徒先生及び東京医科大学八王子医療センター レシピエント移植コーディネーター 窪田基予子先生に執筆していただいた資料より一部掲載しております。 全文をご覧になりたい方は、こちらよりご確認ください。

わが国の腎移植の現状と成績

腎移植の種類

腎移植には、生体腎移植献腎移植があります。わが国は欧米と比較してドナーが著しく少ないために、生体腎移植が主流を占めていますが、欧米諸国においては、移植成績の向上とともに血液透析より腎移植を選択する人が多いのが実情です。

表1 腎臓病の種類

腎移植の成績

生体腎移植、献腎移植とも優れた免疫抑制剤の開発や臨床経験の蓄積により、めざましく向上してきています。

図1 成績:年代別の生着率(生体・献腎)

腎移植手術

一般に移植腎の動脈はレシピエントの内腸骨動脈との端-端吻合、静脈は外腸骨静脈との端-側吻合が行われます。腸骨動静脈は解剖学的に右側で浅く、手術操作が容易であり、移植床として右側が選択されることが多いようです。

皮膚切開は上前腸骨棘の内側2横指の位置から、恥骨結合直上までのゆるい弓状線を用います。外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋を切開、腹膜を正中側へ牽引し、後腹膜から腸骨動静脈に至ります。外腸骨静脈、内・外腸骨動脈周囲を剥離ののち、血管縫合糸を用いて吻合します。

尿管吻合については、膀胱外操作で尿管吻合を行う方法膀胱内操作にて粘膜下トンネルを作製する方法の2つの方法があります。

免疫抑制療法

腎移植においては拒絶反応を抑制し、移植腎生着のために免疫抑制療法が行われます。免疫抑制療法には、ドナーに対する免疫反応のみを抑制する特異的免疫抑制療法と、免疫反応全般を抑制する非特異的免疫抑制療法があります。免疫抑制療法としては前者のドナー特異的免疫抑制の方が理想的ですが、大変難しく、現在は非特異的免疫抑制療法が腎移植に用いられています。(表2)。

表2 主な免疫抑制薬

腎移植後合併症

免疫抑制剤の服用により移植患者の生体防御機能は低下しているため感染症が問題となります。感染症にはサイトメガロウイルス感染症、EB(Epstein-Barr)ウイルス感染症、ヘルペスウイルス感染症、カンジダ感染症、深在性真菌症、レジオネラ肺炎、カリニ肺炎、結核があります。その他の合併症腎移植後糖尿病、骨病変、腎移植後白内障があります。

腎移植はチーム医療

移植医療は実は多くのスタッフの理解と協力が不可欠なチーム医療です。患者さんを取り巻くご家族も腎移植を成功させる上で重要なチームの一員です。腎臓を提供してくれる人もいれば、入院中の留守を守ってくれるのも家族です。移植は家族の理解と協力があってできるのです。移植を受ける患者さんと移植医だけの合意だけでは腎移植を成功させることはできません。透析患者さんの多くは心臓血管系の合併症をもっていたり、糖尿病の方も少なくありません。生体腎移植のドナーにおいても年齢が高齢になるほど生活習慣病をもたれている率が高く、レシピエント同様に、移植の準備段階から腎臓内科、循環器内科、内分泌内科の先生に移植が可能かどうかの検査や診断に協力いただく他、移植を受ける上での食生活の見直しを管理栄養士さんに指導いただくなど、患者さんの健康状態に応じ、各専門家が移植手術を安心、安全に行えるよう支援しています。移植後も各種専門家の力を合わせてドナー、レシピエントが心身ともに健康で長生きするための支援を行っています。

腎移植は移植を受けた時が新しい人生の出発の時でもあります。医療スタッフの惜しみない支援と同様に、ご自身の健康を維持すべく自己管理に努めていただく必要もあります。患者さんと医療従事者が出来ることを共に行うこと、協力してこそ良い医療が受けられるというものです。そして、数多くの人たちの橋渡しをしながら腎移植の情報提供、手術計画、術後の相談役として継続的な患者、家族のサポートを行う移植コーディネーターの存在が重要視されています。