コラム 新おおつか発

加入者泣かせの年金改定案

 高齢者や障害者の生活を支えてくれるのが「公的年金」です。その公的年金が、今大きく変わろうとしています。
 わが国の年金制度は、最初に「給付水準」を決めて、それを支給するためには、保険料がいくら必要かを計算して徴収する(確定給付制度)です。

ところが長い間年金の増額を繰り返しながら、それに見合う保険料の徴収を先送りした結果、支払い原資が450兆円も不足してきました。バブル経済の時代は、保険料はいつでも徴収できると楽観視していたのです。それが長引く不況や少子高齢化の進行で保険料を負担する現役世代が減り、逆に年金を受取る高齢者が増えて、わが国年金制度は抜本改革を行なわなければ継続できなくなりました。
このため「確定給付制度」を「確定負担制度」に改め、集まった保険料の範囲内で給付することになりました。2017年度まで毎年、年収の0・354%ずつ保険料を引き上げ18・3%になったところで固定し、以後変更はしないことになりました。(厚生年金の場合)

 一方給付の方は、現在、現役世代の平均的な手取り年収の59・3%ですが、2023年度までに50・2%に引き下げます。本来なら保険料が上がれば年金が増えるのが原則ですが、、保険料を上げて、年金を下げるという踏んだり蹴ったりの状況となりました。年収800万円の家庭で、現行年54万円の保険料が2017年度には年73万円となります。一方年金は、23万3千円(月額)が2025年度には23万7千円となります。
 保険料が大幅に増えても年金はふえません。加入者泣かせの改定案です。 (藤原 実)

東腎協 2004年5月25日 153


最終更新日:2004年7月15日
作成日:K.Atari