第18回腎臓病を考える都民の集い
                           平成18年2月26日(第二部 パネルディスカッション)

〜糖尿病から腎不全(透析)にならないために〜

 前号bP63で掲載した第一部に続き、第二部の抜粋を掲載します。
 第二部からは江東病院の島田先生と、先生が診られていて、自己管理、コントロールが優秀な今井ふじ子さん、佐々木 一郎さんにも参加いただきました。このお二人の体験と会場からの質問に答えるかたちで進行しました。

原 茂子先生 近藤恵子先生 島田憲明先生

  
   座長      松村 満美子様
   パネリスト   島田 憲明先生
          (江東病院腎臓高血圧内科医長・
                  血液透析浄化室長)
   第一部から   原  茂子先生
             近藤 恵子先生
   一般患者参加 今井ふじ子さん
             佐々木一郎さん

座長 二部からお三方加わっていただきました。まず、島田憲明先生です。腎臓病の保存期の患者さんをたくさん診ていらっしゃる先生です。そのお隣にいらっしゃいますのが、保存期の今井ふじ子さん、そして佐々木一郎さんでございます。

島田 今井様ですが、糖尿病性腎症があり、クレアチニン値が4・7まで上がっていました。私どもの病院で治療を始められまして、クレアチニン値が2まで下がり、順調に来られておりました。ただ、昨年4月ごろに一時的に、クレアチニン値がかなり、7近くまで上がって、血液透析の準備のための内シャントの手術を受けていただきました。
しかし、食事療法を含め頑張られて、2月20日、私の外来ではクレアチニン5・2で落ちついておられます。血糖コントロールも、血圧のコントロールも非常に頑張っておられます。

今井 シャントを作って1年ぐらいです、去年の5月です。

松村 理想的ですね。シャント手術後、すぐ透析という方もたくさんいる中で、優等生でいらっしゃると思います。お食事は?

今井さん(左)・佐々木さん(右)


塩分7g、たんぱく質制限

今井 私が全部つくって、私の分の野菜はゆでて、主人のは別に料理します。

島田 もう一方の佐々木一郎様ですが、平成16年の5月から私どもの腎臓内科で治療され、ずうっとクレアチニンは3前後で、非常に落ちついておられます。直近でクレアチニン3・4カリウムも5・1と完璧です。

松村 お食事は?

佐々木 量の方は多い少ないだけで、あとは同じような物は食べていますけど。

松村 結構薄味?

佐々木(奥様) かなり薄味で、お漬物や味噌汁も一切食べないです。

松村 島田先生、佐々木さんの塩分制限はどれぐらいですか。

島田 最初から7グラムでやっていただくようにしています。

座長 蛋白制限はどうですか。

島田 保存期のお二人には体重1s当り0・75から0・9cです。ところで、うちの病院では、導入される患者さんの約50%以上が糖尿病で糖尿病性腎症の方は多いですね。


低蛋白食品の活用

松村 糖尿病と腎不全の方ですが、合併するとどのような食事療法をすればよいでしょうか。

近藤 糖尿病ではカロリー制限でしたが、今度は腎臓病の食事では蛋白質を減らします。低蛋白のパンや御飯を使ってカロリーを摂って、蛋白質を下げていくのです。

松村 次に、糖尿病から腎臓病、腎不全になる前ぶれは?

 糖尿病と言われて急に、極めて短期間に腎不全というのはまずないだろうと思います。今はクレアチニン2以上を慢性腎不全といいます。ですから、自分の尿素窒素・クレアチニンは幾つぐらいかと、絶えず頭の中にインプットしておいていただくことです。

座長 では次に、糖尿病性腎症は、治る、治りうるというイメージがあるという…。

島田 やはり大事なのは、血圧のコントロール。それと感染症にかかってしまうと腎臓の働きは一気に落ちてしまいます。仕事が忙しい方は、やはり夜横になってお休みになる時間を増やす。

 大部分は糖尿病から腎不全透析という経過をたどっている方が多いです。そのスピードは平均的に見ると慢性腎炎や腎硬化症、動脈硬化からの腎臓の病気に比べると、やはり糖尿病性腎症の人は進行が早いと考えています。
 蛋白尿が出ているか、血圧が管理できているかなど、何でも全部取り組んで治療をするのが、腎不全の治療じゃないかと思います。


コントロールが大切

松村 むしろ進行が早いから、それを遅らせるために、コントロールをすごく良くすれば、寿命をまっとうすることも不可能ではないわけですね。

 それから1つこれは海外の報告です。糖尿病の方が膵臓の移植を受けられた。そうしましたら、その腎臓が全く正常に戻った。ですからやはり糖尿病の管理をきちっとやることが大事です。日本ではまだ膵臓の移植は難しいですが、内科的治療で血糖をとことん良いところまで持っていったらどうなるかの例が、今日お示しした10年間蛋白尿の消えている方です。

松村 では次。「T型糖尿病で無自覚の低血糖失神を起こすことがあります。40〜50、80まで下がることが多く痩せ型です。一つは激しい血糖値の変化と腎臓病の関係、2つ目に低血糖失神と脳の栄養不足の繰り返しが認知症の引き金にならないか心配しております」

島田 そうですね。確かにT型の糖尿病の方は血糖のコントロール不安定の方が多いと思います。
 まずそんなに頻繁に低血糖起こすのであれば、インスリンの量の調整を一度主治医の先生とお考えになってみたらどうかと思います。


書籍も参考に

座長 本を紹介してとたくさん来ています。大きめの本屋さんに行って病気のコーナー、特に腎臓関係のところをご覧になると、いろいろな本があります。また、図書館で「腎臓」「食事療法」で検索すると、いっぱい出てきます。その中で御自分の読みやすいものをお選びになる。また、こちらにいらっしゃる先生方の本もありますし、それでお選びになっていただきたいと思います。

 御質問くださいました皆さん、ありがとうございました。それから佐々木さん、今井さん、どうぞ透析導入を先延ばしなさいますようにお祈りをいたします。島田先生、原先生、近藤先生ありがとうございました。(拍手)
(発言者の敬称は略しました)

東腎協 No.164 2006年7月25日


更新日:2006年12月31日
作成:K.Atari